「人前に出ると緊張してしまう」
「頭では『緊張しなくていい』と思っているのに、心臓がドキドキする」
「プレゼンや人との会話で、いつもの自分が出せない……」
そんな「あがり症」に悩んでいる方は少なくありません。
そして、あがり症を克服しようとすると、多くの人は「気持ちを強くしよう」「自信を持とう」「緊張しないようにしよう」と、心のほうを変えようとします。
でも、実際には「頭では分かっているけれど、気持ちをうまくコントロールできない」ということもありますよね。
そこで私がおすすめしたいのが、「心を直接変えようとするのではなく、カラダからアプローチする」という考え方です。
心とカラダは別々のものではありません。
緊張すると心拍数が上がり、呼吸が浅くなり、筋肉がこわばる。
逆に、呼吸や身体の動かし方を変えることで、心の状態にも働きかけることができます。
この記事では、あがり症と運動・筋トレの関係、そして私たちのパーソナルトレーニングで大切にしている「心とカラダを一緒に整える」という考え方について解説します。
あがり症は「気持ち」だけの問題ではありません
人前で緊張すると、次のような身体反応が起こることがあります。
- 心臓がドキドキする
- 呼吸が速くなる
- 手に汗をかく
- 顔が熱くなる
- 声が震える
- 頭が真っ白になる
- 肩や首に力が入る
つまり、あがり症は「気持ちが弱いから起こる」という単純なものではありません。
心の状態と身体の状態は、お互いに影響し合っています。
だからこそ、
「もっとポジティブに考えよう」
「緊張しないようにしよう」
と頭の中だけで頑張るのではなく、身体側からアプローチする方法があります。
まずは呼吸で緊張にアプローチする
身体からメンタルにアプローチするとき、最初におすすめしたいのが「呼吸」です。
緊張しているときは、呼吸が浅く速くなりやすくなります。
そこで、意識的にゆっくり呼吸する時間をつくってみましょう。
例えば、
「ゆっくり吸う → ゆっくり吐く」
という呼吸を、無理のない範囲で数分間行います。
ポイントは、「絶対にリラックスしなければ」と頑張らないこと。
呼吸をコントロールすることそのものに意識を向けてみてください。
呼吸トレーニングについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
考えごとが止まらない夜に。“本来の自分”に戻る呼吸トレーニング
呼吸だけで難しいなら「軽い運動」を取り入れる
「呼吸を意識しても、なかなか落ち着かない」
そんな方は、身体を動かしてみるのも一つの方法です。
ウォーキングなどの有酸素運動をはじめ、さまざまな運動が不安症状に与える影響について研究されています。
運動と不安症状については、運動によって不安症状が軽減する可能性を示した研究もあります。
ただし、運動の種類や強度などによって結果には違いがあり、「この運動をすれば、あがり症が治る」と断定できるものではありません。
大切なのは、運動を単純に「筋肉をつけるためのもの」と考えないことです。
身体を動かすことは、心の状態を整えるための選択肢にもなります。
ウォーキングについては、こちらの動画でも紹介しています。
「心拍が上がる=危険」ではないと身体で経験する
ここは、あがり症と運動を考えるうえで重要なポイントです。
人前に立つと、
「心臓がドキドキしてきた」
「手が震えてきた」
「息が苦しい」
といった身体感覚が出てくることがあります。
そして、その身体感覚を、
「まずい。緊張している」
と受け取ることで、さらに不安が強くなることがあります。
そこで、運動によって適度に心拍数が上がる身体感覚を経験しておくという考え方があります。
例えばウォーキングや軽い筋トレを行えば、
「心臓がドキドキしている」
「呼吸が少し速くなっている」
という状態を、安全な環境で経験できます。
もちろん、これだけであがり症が改善すると断定することはできません。
しかし、
「心拍が上がること=危険」というわけではない
と身体感覚を経験することは、自分の身体に対する捉え方を見直すきっかけになります。
筋トレは「筋肉をつけるため」だけではない
「パーソナルトレーニング」と聞くと、
- 筋肉をつける
- 痩せる
- 体型を変える
というイメージを持つ方が多いと思います。
もちろん、それらも筋トレの大きなメリットです。
でも、私たちはそれだけではないと考えています。
身体を動かすことは、心の状態にも関係する。
だからこそ、トレーニングでは「どの筋肉を鍛えるか」だけではなく、次のような部分にも目を向けます。
- 呼吸はどうなっているか
- 身体に力が入りすぎていないか
- 動いているときにどんな感覚があるか
- 心拍数が上がったときにどう感じるか
- 運動後に身体や気分がどう変化するか
筋力トレーニングと不安症状についても研究されており、不安症状の軽減が報告されています。
ただし、ここでも「筋トレをすれば、あがり症が治る」という意味ではありません。
筋トレを、身体と心の両方に働きかける方法の一つとして考えることが大切です。
あがり症対策は「メンタルを鍛える」だけじゃない
ここまで読んでいただいて、もしかすると、
「結局、メンタルが弱いから緊張するんじゃないの?」
と思った方もいるかもしれません。
もちろん、心理的なアプローチが必要なケースもあります。
ただ、
「頭で考えても気持ちをコントロールできない」
という方なら、身体からアプローチしてみる価値があります。
例えば、
呼吸する
↓
歩く
↓
少し心拍を上げる
↓
筋トレをする
↓
身体の変化を感じる
↓
「この状態でも大丈夫」と経験する
という流れです。
「緊張しない自分を作る」のではなく、
「緊張しても大丈夫な身体感覚を増やしていく」
という発想です。
私たちのパーソナルトレーニングで大切にしていること
私たちのジムでは、単純に「筋肉をつけましょう」「もっと追い込みましょう」というトレーニングだけを行っているわけではありません。
もちろん、身体を変えるための筋力トレーニングも行います。
しかし、それと同時に、
「心とカラダはつながっている」
という視点を大切にしています。
身体がガチガチに緊張している人に、いきなり「もっと頑張って!」と言っても、うまくいかないことがあります。
そんなときは、
呼吸を整える。
身体をゆっくり動かす。
歩いてみる。
少し心拍を上げる。
そして、自分の身体の変化を感じる。
そうやって、身体を入り口にして少しずつコンディションを整えていきます。
あがり症対策で大切なのは「無理に変えようとしない」こと
あがり症に悩んでいる人ほど、
「緊張しちゃダメ」
「失敗しちゃダメ」
「堂々としなきゃ」
と、自分にプレッシャーをかけてしまいがちです。
でも、これではさらに身体が緊張してしまうことがあります。
だからこそ、
「緊張してもいい」
というところから始めてみてください。
そして、呼吸やウォーキング、筋トレなどを使って、自分の身体を少しずつコントロールしていく。
それが、結果的に「自分の身体は自分で扱える」という感覚につながっていきます。
あがり症におすすめしたい運動の始め方
最初から激しい筋トレをする必要はありません。
おすすめは、次のような順番です。
STEP1:呼吸
まずは数分間、ゆっくりした呼吸を意識してみる。
↓
STEP2:ウォーキング
無理のないペースで歩く。
できれば、景色を楽しめる場所を選んでみましょう。
↓
STEP3:軽い筋トレ
スクワットなど、自分の体力に合わせた簡単な運動から始める。
↓
STEP4:身体の変化を観察する
「心拍が上がった」
「呼吸が速くなった」
「身体が温かくなった」
など、自分の身体に起こった変化を感じてみる。
↓
STEP5:「この状態でも大丈夫」を経験する
ここが大切です。
運動の目的を、
「筋肉を鍛えること」だけにしない。
身体を動かしながら、自分自身の身体感覚を知ることも目的にしてみてください。
短時間の運動から始めてみよう
「運動したほうがいいのは分かっているけど、何をすればいいか分からない」という方は、まずは短時間の運動から始めてみましょう。
こちらの動画では、あがり症に悩む方にも取り入れやすい、短時間の運動例を紹介しています。
無理に激しい運動をする必要はありません。
「少し身体を動かして、自分の身体の変化を感じる」
ところから始めてみてください。
まとめ|あがり症は「心」だけでなく「カラダ」からもアプローチできる
あがり症に悩んでいると、「メンタルを何とかしなければ」と考えてしまいます。
でも、心とカラダはつながっています。
だからこそ、メンタルを直接コントロールすることが難しいのであれば、
「身体からアプローチする」
という方法があります。
呼吸を整える。
歩く。
身体を動かす。
筋トレをする。
そして、心拍や呼吸など、自分の身体に起こる変化を経験する。
運動には、筋肉をつけたり、体型を変えたりするだけではない可能性があります。
運動と不安症状については複数の研究があり、運動が不安の軽減に役立つ可能性も示されています。
ただし、あがり症が強く、日常生活や仕事に大きな支障が出ている場合は、運動だけで解決しようとせず、医療機関や心理職など専門家への相談も検討してください。
「心を変えなきゃ」と頑張りすぎている方こそ、
まずはカラダを動かすところから始めてみる。
そんな選択肢があってもいいのではないでしょうか。
あがり症に悩んでいる方へ
私たちのパーソナルトレーニングでは、筋肉を鍛えることだけを目的にするのではなく、呼吸や身体の使い方、運動強度なども含めて、一人ひとりの状態に合わせたトレーニングを行っています。
「運動したほうがいいのは分かっているけれど、一人では何をしたらいいか分からない」
「緊張しやすい自分を身体から変えていきたい」
そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。

