パーソナルトレーニングの事故報告について思うこと

消費者安全調査委員会の調査によると、パーソナルトレーニングによる事故が、2023年までの6年間に209件あったことがわかりました。

需要が拡大するなかで、未熟なパーソナルトレーナーが増えてることが原因とされています。

トレーナー業は高度専門職なので、バイト感覚でやる仕事ではないと思ってます。

たしかに大手のジムだと、3ヶ月ほどの研修でパーソナルトレーナーと名乗れる現状があります。

私も最初に働いたパーソナルジムでは、短い研修期間でトレーニング指導をしていました。

現場では、さまざまな状況が起こります。

当時はジムで決められたマニュアル指導をする程度のトレーナーでしたが、それでも想定外のことが多くありました。

これではお金をいただける指導ができない。

専門学校で習ったことも、ほとんど通用しない。

それが1から勉強をし直すきっかけになりました。

改めて思ったのは、3ヶ月で身につく知識技術なんて、たかが知れてると。

2年の歳月をかけて学びなおし、再度トレーナー活動を再開して今に至ります。

他のトレーナーさんの指導を受けるなどして、現場でどう対応してるかも学びました。

この記事ではトレーニング中の事故が起こらないために、ジムで取り組んでることを紹介します。

事故が起こらないためにトレ前にやってること

やってることが、3つあります。

  • トレーニング前に体調を伺う
  • 身体の状態をチェックする
  • 身体を調整する

トレーニング効果を出すだけでなく、ケガの予防にもなります。

順に説明します。

トレーニング前に体調を伺う

あるトレーナーさんの指導を受けているときに、毎回その日の体調を聞かれました。

その意図を伺うと、

「これからトレーナーをやるなら、そういうのはクセづけといた方がいい。」

と言われました。

その日の体調によって、微妙にメニューを変えてると。

毎回同じメニューだと思ってたけど、そういった細かい心配りがあったのです。

この学びから、必ず体調を伺うようになりました。

これだけでも、健康被害のリスクを減らすことができます。

身体の状態をチェックする

体軸をチェックします。

本人も気づいてないケガのリスクを回避するためです。

ケガの約9割は、自損事故と言われています。

必ず原因があるので、回避することができる。

トレーニングの目的は、来たときよりもいい状態で帰っていただくこと。

最低でも現状維持を目指しています。

身体を調整する

必ず問題個所は見つかるので、それの対処をします。

トレーニングができる状態になってから、トレーニングを開始します。

機能低下がある部位に負荷をかければ、その部位が壊れてしまう。

体軸をとって、すべての機能低下を解消することを目的としています。

事故が起こらないためにトレ中にやってること

やってることは2つ。

  • フォームチェック
  • 補助の説明

順にみていきましょう。

フォームチェック

正しいフォームでトレーニングできているか?

途中で、フォームが崩れていないか?

この2つをみています。

やみくもに追い込むトレーナーがいますが、追い込むなら正しいフォームありき。

崩れたら口頭で修正を促すか、その時点で終了します。

フォームが崩れると言っても、大きくは崩れません。

あくまでも違和感レベルなので、経験が浅いと見逃してしまうかもしれない。

最後の1回まで、目を離さずにフォームをみています。

補助の説明

バーベルなど重い重量を扱う場合は、つぶれることの説明をします。

挙がらなくなったらどうするか?

補助をどうするか?を事前に確認します。

補助がうまくいかなくて、ケガをすることもあります。

これは毎回確認しています。

事故が起こらないためにトレ後にやってること

人によっては整理体操として、ストレッチを行います。

必要な栄養素の話や、筋肉痛(リカバリー)についても説明します。

トレーニング中の課題や宿題について話します。

トレ後にやることは少ないですが、しっかり回復するよう促しています。

まとめ

パーソナルトレーニングによる事故は、調べたら想像以上に多いことがわかりました。

ほとんどの場合、未然に防ぐことはできるのに。

まずは、お客様の身体の特徴を把握すること。

どの動きが苦手で、ケガをする可能性があるのはどういうときか?

それをしっかりと、説明すること。

確認も含めて、何度も説明しています。

せっかくの個人指導なので、お客様をより深く知ることができます。

効果を出すだけでなく安心してトレーニングしていただけるよう、今後も気をつけていきます。

【補足】

この記事を書くのに参考にしたサイトを紹介しておきます。

ケガや健康被害などの深刻な問題も…。無資格・未経験パーソナルトレーナーに警鐘。

個別トレーニングで事故多発 6年間で209件、重傷も―消費者事故調

筋トレ個別指導で重傷事故相次ぐ、専門知識ないトレーナーも…相談者の9割女性

健康被害増加で個別指導ジム実態調査へ 消費者事故調